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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.39
左/(株)ツボイを立ち上げた藤原幸栄さん。「種菌まで純国産のキクラゲです。キノコ類は薬品に弱いこともあり、栽培には化学薬剤を使いません」。(仁淀川町)。 右上/キクラゲの農園は、奥に見える山のてっぺん辺りにあります。
故郷・ツボイの山から全国へ。
 こんなに高い山の上で農業を、しかも貴重なキクラゲの栽培をしているなんて。仁淀川町の池川からツボイの山へ運転していくと、下界はどんどん遠くなっていきました。行き着いた場所は、標高750m。植生も平野部とは違います。
  
 キクラゲ栽培の会社を2018年に起こした藤原幸栄さんは地元出身で、愛着のあるツボイの名を会社名にしています。広大なハウス群は、もともと、藤原さんの兄がフルーツトマトを作っていた大切な場所。病気で亡くなり、藤原さんが受け継ぐことになりました。
左/収穫は手で摘み取ります。厚みがあるキクラゲは元気な証拠。生産のピークは夏場です。 右/地元スーパーや道の駅などで手に入る乾燥キクラゲ。注文により生でも出荷。
 さて、何を作るかです。もともと藤原さんは、退職後に向け、人がやっていないことをやりたいと思い、探していたそうです。「すでに世に出ているものはやりたくなかったんです。飛行機の中で読んだ機内誌に、学校給食野菜の王様はキクラゲだという記事が出ていました。栄養価が高いことや、国産の給食用キクラゲが希少なことも知りました。」栽培に関心が湧いた藤原さん。高知県の学校給食用に自分が生産しようと考え、働きかけたのが始まりだったそうです。

 栽培は初めてなので、全国のキクラゲ農家を訪ねて勉強しました。そして人を雇い、いよいよ生産開始。ハウス1棟分から始めて、ホームページにキクラゲを載せると引き合いがあって量を増やしていきました。現在は年間出荷量が30トンを超えそうな勢いで、黒いキクラゲに加え、さらに希少な白いキクラゲも栽培しています。ツボイの山はかつて、蚕の餌となるクワの大産地で、西日本一の生産量だったそう。キクラゲの栽培に適した水も湧いています。藤原さんのキクラゲは、空気のきれいなこの環境で育ち、今日も全国へ出ていきます。