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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.31
直販所に出すカット品も丁寧に作る佐藤美智子さん。「良い子も駄目な子もあるけど、駄目な子も最後まで食べてもらいたいから」。(土佐清水市大岐)
私たちも消費者です。
 土佐清水市の大岐海岸といえば、白い砂浜に寄せる波が楽園のよう。その海岸近くに、佐藤巧さんと美智子さん夫妻のブロッコリー畑があります。お二人は関東で大手スーパーに勤めた経験があり、美智子さんは土佐清水出身ですが、巧さんは北海道出身です。

 「東京で勤めていると、毎晩帰宅も遅くなって。二人で相談して第二の人生をと、早期退職したんです。だからって、帰るつもりは全然なかったんですよ」と美智子さん。なぜ、ここを選んだのでしょう。答えは、巧さんが、あの大岐の浜を気に入ったから。実家は土佐清水市でも別の地域で、農地もありません。大岐の友人に田畑を借り、やがて念願だった納屋付きの家や倉庫も借りることができました。「すごくラッキーでした。恵まれたなあと思います」そう話す巧さんは、Uターンした10年ほど前まで、鍬を持ったこともなかったのです。

 ブロッコリーの栽培は、先輩や農業の指導員さんに教えてもらい、だんだん上達して、規模も広げていきました。仲間も増えました。農業は一人ではできないことを実感しています。そして、長年流通の現場にいた佐藤夫妻には、作ることと同じぐらい、売ること、つまり消費者に届けることが大事です。店頭で見劣りしないよう、努力します。「気持ちも物も、手の入れ方を工夫して価値付けをする。清水は消費地から遠い。当日出荷も含め、こちらが意識して出さないと、良さが伝わらないんです。並んでいる中の大きい物、良い物から売れ、高い安いを決めるのはお客さん。自分たちも消費者の一部だから、これ、自分なら買うか?といつも問い掛けます」。スーパーが大好きで、どこへ行っても生鮮食品を見ている巧さんです。
左/「作った物が、きちっとお客さんの手に届くにはどうすればいいのか、いつも考えています」という佐藤巧さん。 右/ブロッコリー収穫の様子。とにかく空気が澄んでいて、人工物がほとんどない環境です。潮の香りも届く静かな畑。