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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.29
筒井和美さんが四方竹のゆで方や皮はぎ機を考案した自宅作業場。こつこつと開発に没頭していた日々が大きく開花しました。(南国市白木谷)
山々に夢を。
 生産者は、工夫しながら日々の努力を積み重ねて、おいしく、より優れた生産物を作ります。でもそこに、ほかの分野からの知恵や工夫が加わったとしたら? その好例が、高知県の四方竹です。

南国市白木谷の四方竹生産者、筒井和美さんによって30年ほど前に開発された、四方竹の「筒井式ボイル法」と「皮はぎ機」。これが、高知を全国一の四方竹産地へと導いた、優れた技術革新です。

 筒井さんは食品加工会社や鉄工所に勤務した経験があり、さまざまな食品を「ゆでる」スペシャリストでした。当時、四方竹は、ゆで方が難しく、日持ちもしないため、生産は停滞していました。筒井さんが独自に考案したボイル方法によって、産地は活気づきます。筒井さんは持ち前のエンジニア精神を発揮して、ゆでた後、皮を吹き飛ばす機械も考案し、大幅な労力と時間の削減に成功しました。

 筒井さんの作業場には、テストマシンの1号機が保存されています。本体は土間などに使う土を固めた材質で、七輪を縦に延ばしたような形状。内側にセンサーとエアの吹き出し口を取り付け、四方竹を差し込むと、即座に皮がむける仕組みです。聞けば、この作業場も、セルフビルドでした。「何でも自分ですると、安いからね」と筒井さんは穏やかに笑いながら、苦労した作品や工具類を見せてくださいました。「チャンスをつかむことが大事です。売れるときを逃したらもう、次はできません」。

俳句をたしなむ筒井さんは、みずからを四方竹の仙民と呼び、こんな句をいつも心に浮かべているそうです。『山々の谷間谷間に夢がある』。高知の山里で暮らす人の熱意が、四方竹という大きな夢を生みました。
左/ゆでた四方竹の皮が、瞬時にビュッとむかれるエア式皮はぎ機。苦労していた作業が爽快な作業に! 
右上/美しい若竹色にゆで上げ、形を整えて氷を詰めて全国へ出荷する四方竹。 右下/皮はぎ機テストマシン1号機