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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.28
青空を元気よく泳ぐこいのぼりと、音を立ててひるがえるフラフ。香南市夜須町のスイカ生産者、松本高雅さん宅。
ひるがえる旗
 5月、スイカの収穫を取材に行った香南市夜須町。ハウスの中で、丸くずっしり実ったスイカの勇姿に見とれて出てきたスタッフの目に、青空に泳ぐこいのぼりが映りました。そのそばには、高知で「フラフ」と呼ばれている、端午の節句を祝う大きな旗が、雄々しくひるがえっていました。「あそこ、うちなんですよ」と生産者の松本高雅さん。「2歳と1歳の孫が男の子でして」。4月から5月いっぱいまで、揚げているそうです。

 こいのぼりと一緒に揚げる、子どもの名前を入れてオーダーするフラフやのぼりは、男子の健やかな成長を願う親や祖父母の思いが込められた、高知の伝統文化です。家紋も入れます。松本さん宅のフラフは、桃太郎の図柄でした。金太郎や武者絵、さらには今風のキャラクターなど、図柄はさまざまです。

 朝晩の揚げ降ろしを担当するのは、奥さんのルミさんと息子さん。ルミさんにお聞きしたところ、「スイカが忙しいから、毎年、始めも終わりも近所より遅くなってしまいます。孫のフラフは、私たち夫婦が注文してきました。息子のときと同じ工房です。染め直すこともできるそうですが、でもやっぱり記念だからね~と、新調したんです。二人目の孫ができて、名前を追加してもらいました」

 大漁旗をイメージさせる鮮やかな色の豪快なフラフは、高知発祥のよさこい祭りでも、踊り子隊の先頭でひるがえっています。フラフの発音は、ラに力を入れて、前後のフは軽く。もともと、オランダ語で旗を意味するフラッフが語源ともいわれ、英語のフラッグにも似ています。一枚一枚、手で染めていく職人技の一品もの。時代が移り変わっても、高知の空にひるがえっています。
写真左・右上/その頃、松本さんのハウスの中では空中立体栽培のスイカが、収穫期を迎えています。 
右下/完熟したスイカは、甘み、シャリ感、香りがそろって、子どものように手塩にかけて育てた作品です。