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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.26
豚を生産するということ
 豚特集では、県内の農場を3カ所訪ねました。豚の生産農場は、母豚に種付けをして、分娩させ、生まれた子豚を約200日育てて出荷しています。子豚は、生まれてすぐ初乳を飲んで母豚から免疫をもらいます。満腹になった子豚がすやすや寝ている様子など、見ていると複雑な思いがわいてきました。一生懸命生きている彼らの命をいただいて、私たちの食生活は成り立つのだと分かっていながら。

 生まれたばかりの頃はあどけなかった豚も、元気に食べ続けて、あっという間に成長していきます。生まれてから、これぞ豚、という姿になっていくサイクルが、一つの農場で見られます。肥育期間中の環境は農場によって違いますが、細心の注意を払って病気から守られ、やがて出荷を迎えるのです。高知の場合は主に地域の食卓へ上ります。

 育てる生産者さんの規模にかかわらず、一頭の豚の世話に掛かる労力は同じ。食事や排泄の世話はもちろん、常に豚たちの状態を見て、少しでも異変があれば、即座に対応しなければなりません。「自分の食事より豚が先」というのが、誰もの思い。豚の命が農場にある間、生産者は全力で世話をします。また、そうしなければ彼らが無事に育たないことを、私たちも取材して知りました。

 実をいえば、取材の途中、豚肉を食卓から遠ざけてしまったこともあります。しかし、取材も回数を重ねて後半になると、安全でおいしい豚肉をいただけるありがたさ、生産者さんたちの真剣さが身に染みるようになり、再び豚肉を口にするようになりました。そのおいしい理由も見せてもらった私たちは、地域産の豚肉を選んで食べていくことの大切さを、それぞれの方法で伝えていきます。
左上・右上/豚に取り囲まれる小松德久さん。地域から出るエコ素材のおがくずなどを床に敷き、豚のQOLを高めています。(奈半利町) 左下/佐竹宣昭さんは、年間の膨大な飼料をエコフィードでまかないます。新しく受け入れる食材は「人間も食べれますか」と確認。(四万十町) 右中・右下/「豚の食事が先です」と話す山中翔太さんと和人さん、ここは家族で営む農場です。朝の給餌を待ちかねる豚たち。(四万十町)