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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.25
栗の現地加工に、地域再生の夢
四万十町十和で栗のペーストなどを作る食品工場を経営している、(有)タネヒサの上村嘉郎さん。上村さんの会社は高知市内で昭和20年から最中の皮(たね)を製造しています。ご両親が幡多の宿毛市出身という縁もあり、10年前に栗加工の現地工場を立ち上げました。

工場は旧十川小学校の給食室だったところを借り、稼働は年間3カ月のみ。上村さんは、秋が最中の皮が閑散期なので、その時期にちょうどいいものをと、「軽い気持ちで探していた」そうです。秋といえば、栗。ところが産地視察に来たら四万十流域は想像以上に地域の活気がなく、それなら栗の現地加工で、雇用や四万十産の栗のブランド化につなげようと、30代半ばで大きなチャレンジを決意しました。

しかし、始めてからは災難続き。2年連続で台風が襲来し、「栗は一粒たりとも工場へ入って来ませんでした。ちょうど仲間と道の駅を作る準備をしていた頃です。栗の木は折れ、ハチの虫害も重なってダブルパンチでした」。ただ、始めた時に、それまで加工をしていた愛媛県の大工場が倒産し、設備を安く引き取ることができ、従業員さんを招いて現場の指導も受けました。現在、25人ほどを雇用し、平均年齢は65歳といいます。

「栗と砂糖だけで、利益よりも日本一おいしい栗ペーストを作る」という上村さんの思いを周囲も後押し。実は、食の一大観光イベント「土佐のおきゃく」を仲間とゼロから創った実績のある上村さん。本業でのお菓子業界との人脈にも助けられ、8割が県外へ出荷される貴重な国産の栗ペースト。四万十産の栗ブランドを育て、ひいては栗の後継者を育てられるよう、四万十の名を出して使っていただくことが取引の条件です。
上/「若かったからできた!」と10年の道のりを語る上村嘉郎社長。苦労もありつつ、雇用の場を守っています。
下/労を惜しまない細やかな作業工程で作られる四万十の栗ペースト。冷凍保存して年中出荷します。