q 農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.22
子育て世代の女性スタッフが多く、週休2日で来てもらえるのは、子育てしてきた井上さんにとってもありがたいこと
転職して農業経営へ
大葉の特集号で取材させていただいた、四万十市の井上靖好さん。取材の合間には、転職して就農した人生談もお聞きしました。高知から全国展開している食品会社にお勤めされ、その後は個人事業にもチャレンジした経験があります。ご実家は兼業農家で、農業は井上さんにとって、「これだけはやりたくない。お金にはならんし、しんどい」ものだったそうです。
時期をずらして収穫が続く大葉のハウス。癒やされる緑の色と香りがあふれます
でも結果的に落ち着いたのは農業でした。自営業では生活が厳しいと悩んでいたところ、奥さんが「それなら農業してみたら?」とすすめてくれたのです。シシトウを始めたら、台風で水浸しになったり、植え替え時の失敗も続き、「このままでは人生ダメにするぞ」と本腰を入れました。そんな時、近所の大葉は元気な姿でした。まさに隣の芝生は青かった!大葉は人手も必要なので、90%は不安でしたが、思い切って大葉農家に弟子入りをしました。というのも、栽培技術が確立されていたからで、この決意が岐路になりました。「熟練の先輩が教えてくれて、救われました。感謝しています」

そこからは苦労して自分のやり方を見つけてきました。「ノーミスのために何をするか?を常に考えています。ミスなくやって、やっと成り立つのが大葉栽培」。毎年、栽培記録を細かくノートに付け、ミスを防ぎます。「10年前と違い、今はアバウトな感覚では経営できません。重油などコストが上がっても価格に転嫁はできないし、ものづくりで一番弱いのが農業です」。サラリーマン時代から「数字の計算が好き」だった井上さんは、経験を生かして採算が取れるラインをきちっと割り出し、従業員さんと年間を通して共存共栄しながら、大葉農家を経営しています。