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農と食を結ぶ情報誌「とさのうと」
vol.20
子どもたちが遊んだ大きな木
宿毛小夏の取材で何度かおじゃまさせていただいた、宿毛市押ノ川の竹村和喜さん宅。そう、お宅というからには、畑だけではないのであります。台所での料理撮影など、いろいろとお世話になりました。倉庫の前で育てている素敵なブドウ棚も見せていただいたことです。その近くに立っている、大きな木についてお聞きしてきました。

これは、ムクロジという木です。推定樹齢は300年以上で、「押ノ川のむくろじ」として宿毛市の天然記念物に指定されています。ムクロジはムクロジュともいい、漢字では無患木と書きます。黒くて固い種は、羽子板の羽根に付ける玉にも使われていました。板で打つと、カンと当たるあの固い素材が、天然の木の実だったとは驚きです。今もどこかで使っているでしょうか。また、果皮を泡立てて石けんとして使ったので石けんの木という別名もあります。さらに、虫こぶから取れる黒い液は、お歯黒などの染料にも利用していたのです。
「押ノ川のむくろじ」は半世紀も前から宿毛市の天然記念物に指定されています。
木の洞(うろ)を撮影してみました。木登り少年になった気分!
いろいろ役に立つだけでなく、こんなムクロジの大木は県内でもめったに見られません。子どものころの竹村さんたちにとって、ムクロジはおなじみの、楽しい、わくわくする遊び場だったそうです。男の子は木の上に登って遊びました。内側はもうずいぶん前から空洞になっています。とはいえ、まだまだ元気に緑の葉を繁らせているムクロジの木。秋には実を付け、冬には葉を落とし、そしてまた春には新緑におおわれて、世代から世代へと続く人間たちの営みを見守っているかのようです。

高知の里山には所々に、代々の住人たちから大事にされてきた大きな木が残っています。こんな大きな木と一緒に遊んで育つ経験を、これから先の子どもたちにも伝えていってもらえたらと願ったひとときでした。